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仙台市青葉区の精神科病院。一般財団法人みやぎ静心会 国見台病院です。

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認知行動療法についてabout Cognitive Behavior Therapy

「物は考えよう」という言葉があります。何か嫌なことがあっても、まあいいか、と思える時とそうでない時があります。同じことが起こっても心に余裕があるときには前向きに考えて行動することが出来るかもしれませんが、うつの時や心が弱っているときには考え方が後ろ向きとなりがちであり、その結果行動も消極的となり、ますますうつ的になって行くものです。

認知行動療法は、こうした考え方や行動のパターンに着目してうつや不安の症状を改善させる心理療法です。

考え方が感情や行動に影響する

「友人にメールを出したが返事が無かった」という時に「嫌われている」と考えると悲しくなってしまい、その友人とは2度と連絡をとらなくなってしまうかもしれません。また、「無視をされた」と考えると腹が立って相手に攻撃的なメールを送ってしまうかもしれません。一方で「友人も忙しいのかな」と余裕をもって考えられると、気持ちは楽でしょうし相手のことを気遣うことが出来るかもしれません。

出来事:友人にメールを出したが返事が無い

それに対して・・・

  

同じ出来事が起こってもそれについてどのように考えるかでその後の気分が変わってくることがわかりますね。

実際にどうなのかは、結局のところ相手に確認してみないと分かりません。本当に無視されたのかもしれませんし、実際に嫌われているのかもしれません。認知行動療法は別に真実に目を背けて都合よく考える事が目標ではありません。頭の中でくよくよと考え悩み続けるのではなくて、行動し状況を確認していく事が大事です。本当に嫌われているとしたら、それは辛い事でしょうが、現実を見つめてその人との今後の付き合い方を考えて行けばよいのです。

 ただし、うつや不安の強い時には、視野が狭窄して悪い方にしか考えられなくなっている事があり、すべてを自分にとって不都合に解釈してしまいます。わたしたちが日常生活の中で起こる出来事すべてを確認して行く訳にはいきませんが、悪い方に受け取る癖が身についていると何か起こるたびにマイナスに考えてしまう様になります。こうした考え方の癖を「非適応的な思考」と言います。より現実的で、バランスの良い「適応思考」を身に付けていく必要があります。

状況を公平に扱おう


このボールを蹴るとゴールに入るか、入らないか、蹴ってみないとわかりません。しかし「入る訳がない」と考えて蹴るのと「きっと入る」と考えて蹴るのでは蹴り方も違ってくるでしょうし、入る確率も変わるでしょう。
会議で発表するときの事を考えてみましょう。「自分には能力が無い」という考え方の傾向を持っているとすると、会議での発表の前に「きっと失敗する」と考えて不安が強くなるでしょう。不安が強くなると、結果的に緊張が高まり、かえって失敗してしまう事が多くなります。そうなると「やはり失敗した」と更に悲観的になり次の発表は回避してしまうかもしれません。

回避すれば一時的に安心するでしょうが、根本的な解決にはなっておらず、「ああ、やはり自分には無理なんだ」と更に自信を喪失してしまい、引きこもってしまうかもしれません。また、失敗に対する不安が強いと、上手く行かなかった点にばかり注意が行ってしまい、上手く行ったことに目が行かなくなるかもしれません。ここで「自分には自分なりの能力が備わっているのだ」と考えられれば、多少不安になるかもしれませんが、回避せず発表を行うことで、実際に起こった問題に対峙して、さらに現実的な対処方法を考えられるかもしれません。

問題を直視して、自分のこれからに役立つ考えや行動を探し出していく、という事がテーマになります。認知行動療法では、自分の考え方の癖や行動のパターンに気付くとともに、視野を広げて、どう考えるとより現実的でかつ自分にとって楽なのか、という事を見つけることを目標とします。

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プログラムについて

実際の認知行動療法セッションでは下のような流れに沿って進めていきます。

@「セルフアセスメント」でそれぞれの考え方や行動の癖に気付く

A「自動思考記録表」を用いて考え方について検討し「適応的思考」導き出す(認知再構成法)

B「問題解決技法」を用いて問題に対する行動実験を行う

C「アサーション・トレーニング」を行い上手な自己表現を身につける

といった順番で進めて行きます。

@セルフアセスメントについて

まずは自分の考え方や行動の癖を知りましょう。現在どのような悪循環に陥っているのかを、アセスメントシートに書き出すことで知ることが出来ます。何かを変えていくためには、まず現在の状況を把握しておく必要があります。

A認知再構成法について

私たちはみんな、日々起こる出来事に対してその都度判断をしながら生活をしていますが、そこにはそれぞれの「考え方のクセ」が存在しています。物事をネガティブに考えがちな人はどの様な事が起こっても後ろ向きに考えてしまうクセがあります。例えば外で物音がした時に「泥棒かも?」と考える人もいれば「ネコかな?」と考える人もいるわけです。
こうした考えは自動的に浮かんでくるので「自動思考」と呼ばれます。うつや不安の強い時には何か物事が起こったときに考え方が極端となりさらに悲観的な自動思考が生じやすくなっています。十分な根拠なく悲観的に決めつけてしまったりすることがふえていないでしょうか?

「認知再構成法」では「自動思考記録表」を用いて気持ちが落ち込んだ時の自動思考に着目します。その自動詞豪がどの程度妥当なのか、もう少し別の考え方は出来ないものか、検討して行きます。色々な考え方を導き出すことできっと気持ちが楽になるでしょう。

この方法を習得すると、より柔軟な考え方を身に付ける事が可能になり、落ち込んだ時でも「こう考えると気持ちが楽かも」と気持ちを切り替えることが容易になります。

自動思考記録表についてはこちら

B問題解決技法について

認知の幅を広げるだけでも気分は改善しますが、実際に問題となっている物事が残っているかもしれません。その場合考え方を変えてみるだけでは解決とならないことがあります。

先ほどの例で考えてみると、実際に家の外に泥棒がいる時に「それはネコに違いない」と考えて済ませてしまう事は妥当とは言えません。問題解決のために「警察に通報する」「泥棒を捕まえる」などの行動をとっていく必要があるのです。問題解決のために行動のパターンを変えていく方法を身につける必要があります。「問題解決技法」では「問題解決シート」を用いて行動面に働きかける技法を学んでいきます。

抱えている問題が大きすぎると「どこから手を付けたらいいか分からない」と圧倒されてしまい「どうせ無理」とあきらめてしまいがちです。大きな問題は小さく小分けして少しづつ解決して行く様にしましょう。「学校の勉強が5教科すべて分からない」という問題を一気に解決しようとしてもどこから手を付けていいかわからず途方に暮れてしまうでしょう。今週は国語、次の週は数学・・・と細分化して進めて行く必要があります。

問題解決シートについてはこちら

Cアサーション・トレーニングについて

アサーションとは自分の気持ちをおだやかに、かつきちんと伝えていく方法です。
うつ状態にある方は、非自己主張的な表現をしやすく、自分の気持ちを無視したり、押さえつけたりする傾向が見られます。アサーションを身につけ、自分の気持ちをきちんと伝え、お互いを尊重しながら自己表現し、うまくコミュニケーションをとることができれば、人間関係をよりスムーズに築けるかもしれません。

プログラムでは、アサーションのポイントについて、ロールプレイ(場面を想定して役を演じて頂きます)を行いながら学んで頂きます。


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